認知意味論

認知言語学と語彙

世界は無限の概念で満ち溢れている。概念はそれ自身に区切りはなく、私たちは言語を通じて概念世界を表現する。語彙(lexicon)は概念を独立した言語表現として取り扱える1つの単位であり、それは語彙化(lexicalization)によって、概念に一定の区切りが与えられた記号である。

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類像性と意味

ソシュールは、記号と音は恣意的に結びついていると考えた。例えば、treeは「木」を表すが、これがtreeと呼ばれなくてはならない理由はない。仮に「木」をtableと表現していたら、それがそのまま定着した可能性がある。

しかし、言語表現のすべてが恣意的に決定されているとは限らない。文法は恣意的でない要素が多く、語彙さえも表記と指示対象の関連性が見られる場合がある。このように、形式と意味には何らかの関連性があることを類像性(iconicity)と言う。

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多義性とネットワーク・モデル

ある語句を辞書で調べると、たいてい2つ以上の意味が掲載されている。それらの意味は場面によって適切に使い分けられることで、話し手と聞き手が1つの語句の意味を同定しコミュニケーションを取る。

このように、言語要素の意味は状況に応じて変化する弾性(semantic flexibiity)を持っており、1つの単語が複数の意味に対応することを多義性(polysemy)と呼ぶ。一般に、使用頻度が高い語句ほど多義的である。

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文法化とは何か

言語は実際の使用の中で、長い年月を経て意味や形を変えていく。様々な変化の種類がある中でも、とりわけ内容語が機能語としての用法を帯びることを文法化(grammaticalization)という。

文法化では、動詞や名詞などの主要範疇(open class)の語句が、助動詞・前置詞などの非主要範疇(closed class)に変化することが多い。ここには比喩や主観化などの認知的メカニズムが介在するため、認知言語学的視点からの研究が活発だ。

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チェックリスト意味論とは

20世紀の意味論の中心となったのが、非単一階層的アプローチ(two-level approach)だ。ここでは言語の意味はもっぱら語彙的知識(lexical knowledge)から構成されると考え、背景的な情報となる百科事典的知識(encyclopedic knowledge)とは区別する立場を取っている。

語彙的知識を探求する方法は様々だが、とりわけ20世紀中盤に主流となったのがチェックリスト意味論(checklist theory of meaning)である。

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認知言語学の意味観

言葉の「意味」の定義をめぐって、様々な議論が行われている。古くは、言葉は世界の事象をラベルングしたものという言語名称目録観にはじまり、その批判としてのソシュールの記号観が生まれた。

20世紀以降、主流となった意味観に非単一階層的アプローチ (two-level approach)がある。これは、言語的な情報である語彙的知識(lexical knowledge)と、語の背景にある一般的情報である百科事典的知識(encyclopedic knowledge)を分ける考え方だ。

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トローゴットの主観化

ラネカーの主体化が言語主体の概念化の過程に注目したのに対し、トローゴットはこれを解釈による意味変化と考える。ラネカーと区別するため、トローゴットのsubjectificationは主観化と呼ばれることがある。

トローゴットによれば、主観化は意味に新しい解釈が加わることで、はじめの意味が消え、新しい意味が定着する段階的な現象である。

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ラネカーの主体化

認知言語学では、言語表現には話者の主観的な解釈が伴うと考える。これは、言語表現は世界の事象を客観的に指示すると考える、従来の言語学とは異なるパラダイムである。

言語表現に主観性が介在するメカニズムについて説明したのが、ラネカーの主体化(subjectification)だ。

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