捉え方レベルの概念メタファー

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メタファー(metaphor)は類似性に基づく比喩であり、2つの概念の共通性からスキーマを形成する。メタファーは様々な言語表現で観察されるが、事象の対応関係は特に概念メタファー(conceptual metaphors)と呼ばれる。

例を使って議論しよう。経営の世界では、しばしば「戦略」という言葉が使われる。「ブルーオーシャン戦略」や「ポジショニング戦略」など、経営の方略を策定するために用いられる概念だ。

「戦略」はメタファーとして使われており、「経営は戦争である」という概念メタファーによって、その容認性が担保されている。経営は実際の戦争とは全く異なるが、この2つの類似性によって、概念同士が結び付けられていると考えられる。

  戦争 経営
目的 敵を倒す 競争相手に勝つ
武器 銃や刀 商品・サービス
兵士 自軍の戦士 従業員
陣地 国家 オフィス

ここで、戦争のように比喩されるものを起点領域(source domain)、経営のように比喩の対象となるものを目標領域(target domain)と言う。また、このように異なる2つの概念を結びつけることを、メタファー写像(metaphorical mapping)と呼ぶ。明示的に「経営は戦争である」の概念メタファーを意識せずとも、無意識にその類似性を認識することで、メタファーを使うことができるのだ。

特に、メタファー写像は経験に基づく具体的な概念を使うことで、思考などの抽象的な概念を対応させることが多い。カップルが「私たちは岐路に立っている」と言えば、「恋愛は旅」という概念メタファーのもと、「岐路(道)」という具体的概念と、「決断の分かれ目」という抽象的な思考を結びつけている。逆の例はあまり観察されない。

概念メタファーの理解によって、メタファー表現の背景を探求することができる。外国語学習においても、概念メタファーを噛み砕いて説明することで、語彙や表現に対する学習負荷を軽減する可能性も見いだせるだろう。

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