家族的類似性とカテゴリー

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認知言語学におけるカテゴリー観では、成員すべてが共通の特徴を持っている必要はない。カテゴリーには典型的な成員であるプロトタイプが存在し、プロトタイプとの距離感で成員の濃度が段階的に決まる。

ここで、共通の特徴なしにカテゴリー所属の判断がどのように決まるのか、という疑問が湧くかもしれない。それを考える1つのヒントに、Wittgensteinが考える家族的類似性(family resemblance)がある。

家族のメンバーは往々にして、類似の性質を持っている。例えば長男は目の雰囲気が父親似で、次男は鼻が祖母似ているかもしれない。他にも、仕草や性格がメンバー同士で似ている箇所があるかもしれない。

しかし、家族間で完全に一致する共通点があることはありえない。それでも我々はある家族を見た時、たとえ戸籍上のつながりを知らなくても、そこに「家族らしさ」のようなものを感じるだろう。

認知言語学のカテゴリー観は、このような家族的類似性に似た部分がある。成員同士が互いに共通する要素を持っており、そのネットワークがカテゴリーを形成する。

「ゲーム」と言ったらボートゲームやTVゲーム、勝ち負けがあるものとないもの、1人でプレイするもの、2人以上で遊ぶものなど様々だが、我々はそれを一括りにゲームと認識できる。それは、まさに家族的類似性のような捉え方で、我々がカテゴリー化を行っているからだろう。

その意味で、カテゴリーの考え方は語彙や文法知識に広く応用でき、そこから言語表現を紐解く無限の可能性が見いだせるのだ。

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