イメージ・スキーマ変換とトポロジー的継承

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

イメージ・スキーマ(image schema)はそれ自体に様々な変換が起こることで、意味が拡張され使われることがある。これを前置詞overを例にとって考えてみよう。

まず、overは何かの上部を超えてゆくイメージ・スキーマを持つ。

image-schema-transformation.001

次の例文は、overのイメージ・スキーマの移動経路に焦点が合わさって使用されている。johnがトラジェクター、the fenceがランドマークとし、彼のジャンプの軌道を示すのが前置詞overだ

  • John jumped over the fence. (ジョンはフェンスを飛び越えた)

image-schema-transformation.002

overは経路の終端に焦点が合わさることで、拡張的な意味で使用されるケースもある。

  • John lives over the hill. (ジョンは丘の向こう側に住んでいる)

image-schema-transformation.003

さらに、経路の途中地点に焦点を置く例も散見される。

  • There is a plane over the mountain. (飛行機がその山の上にいる)

image-schema-transformation.004

このようなイメージ・スキーマ変換(image schema transformation)は、他の前置詞や言語表現に見ることができる。

また、同じイメージ・スキーマを保ったまま、その対象とする領域が変化するトポロジー的継承(山梨, 2000)もしばしば発生する。

例えば、前置詞inは空間のイメージ・スキーマを持っている。

image schema.003

前置詞inのイメージ・スキーマは、物理的な空間だけで使用されるわけではない。社会的・心理的・時間的領域においても、それを「空間」と見立てることで、inのイメージ・スキーマを生かすことができる。

それぞれの例文を見てみよう。

  • 物理的領域: I live in Tokyo.
  • 社会的領域: I work in an IT company.
  • 心理的領域: I was in shock. 
  • 時間的領域: I’ll be there in 10 minutes.

すべてトラジェクターがランドマークの中にいる様子を、異なる領域に適用している。

このように、イメージ・スキーマの原理を知ることで、これまで多義的・派生的と言われていた表現の論理的背景を探求することができるのだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。