認知言語学と語彙

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世界は無限の概念で満ち溢れている。概念はそれ自身に区切りはなく、私たちは言語を通じて概念世界を表現する。語彙(lexicon)は概念を独立した言語表現として取り扱える1つの単位であり、それは語彙化(lexicalization)によって、概念に一定の区切りが与えられた記号である。

例えば、H20という分子で構成される液体に、我々は「水」という地位を与える。いったんH2Oが水と呼ばれるようになれば、水は慣習化(conventionalized)された存在と成る。以降、私たちは水と呼ばれる概念を常にその語句から捉えるようになる。

ここで、私たちはH20であればなんでも水と呼べるわけではない。例えば「氷」も同じH2Oで構成されるが、私たちはそれに対し「氷」という異なる地位を与えている。水は「常温のH2O」という条件があって概念化(conceptualisation)される。

語彙の中には、特定の知識・経験・文化的背景があって意味が成立するものがある。landとgroundは共に「地」を表すが、landは海から見た地、groundは空から見た地である。このように、背景知識をベースにカテゴリーが形成されることは、理想化認知モデル(Idealized Cognitive Model: ICM)と呼ばれる。

水の例に戻ろう。「水」と言った時、我々のほとんどは川に流れるような透明でキレイな水を思い浮かべる。こういった典型的事例をプロトタイプ(prototype)と呼び、病院で使われるような精製水は同じH2Oであってもその周辺事例(拡張事例)となる。語彙は1つの固定的な意味が付与された記号ではなく、抽象概念であるスキーマ(schema)を中心としたカテゴリー(category)を成していると考えられる。

語彙は概念を表す記号と考えれば、その数はおおよそ無限になることが予想される。膨大な語彙を自然に分類するひとつの方法に、語彙クラス(lexical class)がある。これは従来、品詞と呼ばれていたものだ。

語彙クラスは特定の語句の特徴を抽出し、その共通点をグループ化する。ラネカーは、英語の品詞を次のように分類している。

  • 名詞: もの
  • 動詞: 時間的関係
  • 前置詞: 非時間的関係における明示的なモノ
  • 接続詞: 非時間的関係における明示的な関係性
  • 形容詞: 非時間的関係における非明示的なモノ
  • 副詞: 非時間的関係における非明示的な関係性

品詞に関しては別エントリーで解説したい。

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