メトニミー(換喩)とは何か

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メトニミー(metonymy: 換喩)とは、隣接性(contiguity)に基づく比喩表現である。認知主体はある事象に対し、隣接性のある他の事象を参照点(reference point)とし、そこから対象事象に到達する。

ここでは「鍋を食べる」を例に考えてみよう。「鍋を食べる」と言っても、私たちが食べるのは容器としての土鍋ではなく、中で煮えている具材である。しかし、「鍋を食べる」が成り立つのは、鍋の具材に対し隣接性のある容器としての「鍋」を参照点とすることで、鍋料理を「鍋」とメトニミー的に表現しているからである。

メトニミーでは、認知的際立ちが与えられるものが参照点になりやすい。鍋の例では、鍋の中の料理そのものよりも、器としての鍋に我々の注意がいくのだろう。「鍋」は「鍋そのもの」と「鍋の具」を表現できるが、その逆はない。

このように、メトニミーには方向性が観察できる。概念の入れ替えができないのがメトニミーの特徴であり、双方向的に表現可能なのはシネクドキと分類できる。

また、メトニミーは2つの概念の接触から成る表現のため、カテゴリーやスキーマを形成しない。認知的際立ちのある表現と隣合わせのの概念を使い、注意の焦点を変えるものと考えるといいだろう。

尚、厳密に言えば、我々の日常表現のほとんどがメトニミーと解釈できる。

  • テレビを観る⇒テレビと呼ばれる家電に複写される番組を観ること⇒テレビと番組の隣接性
  • 小説を読む⇒小説と呼ばれる文学のいちジャンルに属する文字情報を読むこと⇒小説と文字情報の隣接性

メトニミーの理解はは外国語学習に応用することも可能だ。詳細は別エントリーで議論しよう。

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