プロトタイプとステレオタイプ

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プロトタイプ(prototype)とは、モノづくりの現場では「試作品」を指す言葉だが、認知言語学では「カテゴリーを代表する典型的な成員」という意味で使われる。

例として「鳥」という概念を考えてみよう。鳥といって我々がすぐに思い浮かぶのが、カラスやスズメのような羽が生えて空を飛ぶ生き物である。「鳥」という言葉で反射的にペンギンを思い浮かべる人は少ないだろう。

ここで、カラスやスズメは「鳥」のプロトタイプと言う。認知言語学のカテゴリー観では、カテゴリーはプロトタイプを中心とし、その周辺にプロトタイプに近いもの・遠いものという段階制を持った周辺事例が存在する。そのため、カテゴリーの境界はファジーであり、追加や変化が起こりうる。

あるカテゴリーのプロトタイプに対し、人間の先入観が色濃く反映された固定観念がステレオタイプ(stereotype)である。

例えば、日本人はアメリカ人に対し「陽気でフレンドリー」というステレオタイプな人物像を持っている場合が多い。そこで実際に1人や2人のアメリカ人に会い、好意的に接してもらえると「やはりアメリカ人はフレンドリーだ」と無意識に感じ、ステレオタイプを強化する。

プロトタイプはカテゴリーを理解する上で非常に重要であり、単語の多義性など、言語現象にも多く現れる概念である。プロトタイプについては別エントリーで詳細を議論していきたい。

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